五竜岳
 
大黒岳と白岳の中間から見る五龍岳(長谷川正敏)
関係市町村のホームページなどから、下記の情報を見ることができる。
白馬村観光局
大町市役所
The Japan Alps

アクセス:, , ,
山小屋・キャンプ
温泉:大町温泉郷
登山コース:, ,


アクセスと山麓の宿

:東京から来る時には、中央自動車道と長野自動車道を通り、安曇野ICで降りる。長野自動車道に沿って走り、四つ目の信号を過ぎてスイス村のとんがり屋根が見えたら、五つ目の重柳の信号(大町・白馬方面)で右折して北アルプスパノマロードを走る。147号線に入り、大町市街を通って148号線に入る。登山口と下山口がちがう時には、JR白馬駅あるいはJR信濃大町駅付近の駐車場に車を泊める。
電車・バス:東京の新宿からJR大糸線の白馬駅へ直通電車が出ているので、それを利用する。
山麓の宿:八方尾根から登る時には、初日にゴンドラとリフトを乗り継いで、標高1836mの村営八方池山荘に泊まる。


登山地図と登山コース

登山地図   GPC軌跡   鳥瞰図(カシミール3D)  高低図  
 五竜岳だけを登るのであれば、遠見からテレキャビンでアルプス平駅に着いて、遠見尾根から五竜岳を往復するのが最短コースである。しかし、遠見尾根は余りにもアップダウンが多くて時間がかかる。五竜岳と鹿島槍ヶ岳を続けて登るのであれば、扇沢から入って鹿島槍ヶ岳から五竜岳を経て遠見尾根を下るのが良い。

 ここでは、八方池山荘から唐松岳頂上山荘を経て、五竜岳から鹿島槍ヶ岳へ縦走して扇沢に下るコースを紹介する。その際、鹿島槍ヶ岳北峰に登るキレットの通過には危険個所があるので、初心者は五竜岳から遠見尾根を下ること。


登山ガイド

アクセスと山麓の宿
 八方尾根から唐松岳、五竜岳、鹿島槍ヶ岳への後立山連峰を縦走して、扇沢に下山した。登山口と下山口が大きく違うので、マイカーをやめてJRを利用した。行きはJR大糸線白馬駅で降りて、ゴンドラリフトアダム、アルペンリフトとクワッドリフトを乗り継いで、標高1836mの村営八方池山荘に着いた。帰りは扇沢からバスに乗り、JR信濃大町駅に着いた。

1968年7月28日から7月30日
 手持ちの写真は古い白黒であったので、長谷川正敏さん、臼杵克俊さん、頭川康昭・保美さんと田畑信子さんからカラー写真の提供を受けた。

1968年7月28日 晴 
八方池山荘(
7:20)――→八方池(8:20,8:30)――→唐松岳頂上山荘

11:10,11:25)――→唐松岳(11:45,12:00)――→唐松岳頂上山荘

12:15)―→大黒岳(13:25,13:35)―→遠見尾根分岐(15:05)―→

五竜山荘(
15:25
                           
 
 山荘前から遊歩道を歩きだすと左に五竜岳が見えだし、その奥に鹿島槍ヶ岳の双耳峰が見える。道が二手に分かれて上で合流するが、右手の尾根を進む。第二ケルン、八方ケルンを過ぎて、第三ケルンに出ると、右下に八方池が見下ろせる。ここから八方池に下りてから八方池山荘に戻る遊歩道は、観光客に人気がある。右側に見える白馬三山の眺めが素晴らしい。冬には八方池山荘から兎平を経て、国際パノラマコースやリーゼンコースを72歳の今も滑り降りている。少しは自慢できる現役のスキーヤーでしたが、2023年には82歳になって、スキーは引退しました。

 ここから、下ノ樺、上ノ樺といわれるダケカンバの林を進む。左下に扇沢の雪渓を見ながら進むと、2361m地点を過ぎて丸山ケルンに出る。右に不帰剣の絶壁が迫る。4年前に縦走した時には、この絶壁のどこを通ったのだろうか。2554m地点を越えてから尾根がだんだん狭くなり、鎖がついた道を登ると、唐松山荘の裏に出る。少休憩後、唐松岳を往復した。唐松岳からは、正面(西)に剣岳が岩稜の尾根を従えて、凛々しく立っている。

 唐松山荘から五竜山荘まで、正面(南)に五竜岳を、右(西)に剣岳から立山連峰を見ながら進む。すぐ牛首の小ピークに登る。ここから狭い岩稜を所々に設置された鎖につかまりながら、慎重に下り続ける。大黒岳の手前でそれも終わる。大黒岳の西側を巻いて登り、ハイ松帯の中を白岳との鞍部まで下る。

 この鞍部から五竜山荘までは、200mの標高差がある。少し登り返すと平になるが、そこから見る五竜岳はガッチリした山容を見せて聳えている。ここから最後の急坂を頑張って登ると、白岳で左から遠見尾根からの道が合流する。そこを過ぎると、間もなく五竜山荘に着く。





  八方池(田畑信子)
 唐松山荘から見る唐松岳(長谷川正敏)
  五竜岳(田畑信子)
 五竜山荘(頭川康昭)
7月29日 晴後曇り 
五竜山荘(
6:10)―→五竜岳(7:10,7:25)―→北尾根の頭(9:45,10:00

――→キレット小屋(
11:30,11:55)――→鹿島槍岳南峰(15:10,15:25

――→布引山(
16:05)――→冷池山荘(16:55
              

 五竜山荘から岩尾根につけられた道を登る。上に行くほどに傾斜が増し、道は岩からだんだん岩屑が散らばってくる。岩につけられたペンキの印を見落とさないようにする。最後の鎖場を過ぎると、山頂に出る。南にはこれから行く鹿島槍ヶ岳が近づいて見え、西には剣岳から連なる立山連峰、南西には槍ヶ岳から穂高連峰が望める。

 山頂から尾根を急降下して、傾斜が緩んだG4からG5(2,645m)からさらに下降して鞍部になる。そこから北尾根の頭に出て、狭い尾根を注意しながら進むとキレット小屋に着く。ここでいったん休憩する。鹿島槍ヶ岳北峰は320mの高さにあり、行けるのかなと不安がよぎる。

 八峰キレットを鎖と梯子を使いながら、慎重に通過する。岩尾根をペンキ印をたよりに、時には鎖につかまりながらゆっくり着実に進むと、鹿島槍ヶ岳北峰に出る。いったん鞍部に下りてから登り返すと、鹿島槍ヶ岳南峰にたどり着く。山頂は意外に広く、何人もの登山者が憩っている。キレット小屋から鹿島槍ヶ岳南峰までは、距離は余りないが結構時間がかかった。

 山頂から稜線を下り、布引岳を小さく越える。歩きやすい稜線をさらに下ると、やっと冷池山荘に着く。今日は今回の縦走のハイライトであった。疲れたので夕食にビールを飲んで、早めに寝る。食欲があってうれしい。
 


 爺ヶ岳南峰から見る剣岳(田畑信子) 

 爺ヶ岳南峰から見る立山・剣岳(頭川康昭) 

 爺ヶ岳南峰から見る鹿島槍岳(田畑信子) 

布引岳から見る鹿島槍岳(田畑信子)

五竜山頂(長谷川正敏)
  鹿島槍岳南峰から見る五竜岳(臼杵克俊)
  鹿島槍岳南峰から見る北峰(田畑信子)

鹿島槍岳南峰山頂(頭川康昭) 
7月30日 曇り後雨 
冷池山荘(
6:10)―→赤岩尾根分岐(6:25)―→爺ヶ岳南峰(8:05,8:30

――→種池山荘(
9:00)――→柏原新道登山口(11:40,11:50)――→

扇沢バスターミナル(
12:05
          

 冷池山荘から冷乗越に下り、そこからハイ松帯の中を登り返すと赤岩尾根分岐に出る。左の赤岩尾根への道を見送り、爺ヶ岳方面へ尾根を登る。爺ヶ岳北峰の下を通り、緩やかな尾根を最高点の中央峰から南峰に着く。ここから振り返ると、通ってきた尾根の先に鹿島槍ヶ岳の双耳峰が端麗な姿を見せている。休憩後、真西に向けてハイ松帯の稜線を快適に下ると、赤い屋根の種池山荘に着く。ベンチに座って、ゆっくり鹿島槍ヶ岳にお別れをする。周りにはお花畑が見られる。なお、先ほどの赤岩尾根分岐から大谷原に下る道は急坂が多いので、歩きやすい柏原新道を勧める。柏原新道を通って爺ヶ岳、さらには鹿島槍ヶ岳への登山コースは、北アルプスへの入門コースといわれる。

 種池山荘を出る頃から雨が降ってきた。黄色のポンチョを着て(44年前にはゴアテックス雨具はなく、ポンチョ、ゴム引きの蒸れる重い雨具、透明ビニールの破れやすい上下の雨具が主流)、ひたすら柏原新道を下る。始めは南東に向けて、爺ヶ岳南尾根斜面につけられた道を穏やかに下る。途中から尾根上を南に向けて下るようになり、傾斜がだんだん増してくる。

 途中にガラバと呼ばれるガレた斜面を通るので、落石と滑落に注意する。8月始めまではガラ場にかかる雪渓を横切る場所があるが、カットされているので心配する必要はない。ケルンのある所で休憩する。ここから、樹林帯につけられた急なモミジ坂をジグザグに下ると、柏原新道登山口に出る。車道をしばらく歩くと、扇沢バスターミナルに着く。

 柏原新道は現オーナーの柏原正泰(二代目)が昭和30年代後半から昭和41年頃にかけて独力で開けた登山道である。登山コースの詳細については、冷池山荘、種池山荘と新越山荘のオーナーである柏原正泰氏が作っているホームページが参考になる。 
   

爺ヶ岳山頂(頭川康昭)
  種池山荘(頭川康昭)